紙そのものがデザインになる/”ヴィンテージペーパー”の魅力
紙屋にとって、汚れや色むら、日焼けのような変化は、本来であればできるだけ避けたいものです。
白さが均一で、汚れがなく、安定した品質であること。
それは、紙を製造し、商品として届けるうえで大切なことのひとつです。
けれども、古い本や手紙を手にしたとき、その黄ばんだ色や不均一な模様に、なぜか惹かれることがあります。
長い時間を過ごしてきたような色合い。
ところどころ濃淡のある紙面。
少し使い込まれたような雰囲気。
本来なら「古くなった紙」に見られるそんな特徴を、あえて紙の表情として取り入れたのがヴィンテージペーパーです。
今回は、ヴィンテージペーパーならではの風合いや、一般的な上質紙に印刷したときとの違いを比べながら、紙袋やコラージュ、リーフレットなど、さまざまな作品づくりにも使ってみました。
ヴィンテージペーパーとは
今回使用したのは、PAPER Entranceの「コピー用紙 A4 アンティーク ヴィンテージ ペーパー」。
本当に古くなった紙ではなく、日本製の嵩高上質ペーパーに印刷加工を施し、紙焼けしたような色むらや古紙のような表情を再現した紙です。両面にヴィンテージ風の加工が施されています。
近くで見ると、均一な茶色ではありません。
淡いところがあったり、縁に向かって色が濃くなっていたり。紙の繊維を思わせるような表情もあり、一枚の紙の中にさまざまな濃淡があります。



原紙にはわずかにざらつきのあるラフな質感の紙が使われているため、見た目だけでなく、手にしたときにも一般的なコピー用紙とは少し違った印象があります。
紙厚は約0.19mm。
一般的なコピー用紙よりもしっかりとした厚みがありながら、折ったり、切ったり、プリンターで印刷したりできるのも特徴です。
つまり、古紙そのものを使うのではなく、現在の紙の使いやすさを残しながら、時間を重ねたような風合いを楽しめる紙なのです。
上質紙と印刷を比べてみました
ヴィンテージペーパーの面白さがよく分かるのが、実際にデザインを印刷したときです。
今回は、同じデザインを一般的な白い上質紙とヴィンテージペーパーに印刷して比較してみました。
まずは、クラシックカーを使ったデザインです。
白い上質紙では、文字や写真の色がそのまま表れ、すっきりとした仕上がりになりました。白い紙面とのコントラストがあるため、デザインの細かな部分もはっきりと見えます。
一方、ヴィンテージペーパーに印刷すると、印象は大きく変わります。
紙にもともとある茶系の色や濃淡が背景として加わり、写真や文字が紙になじみます。新品の紙に印刷したはずなのに、昔の雑誌や広告を切り取ってきたような雰囲気になりました。

次に、ハロウィンをイメージしたデザインでも比べてみました。
白い上質紙では線や文字がはっきりと見え、デザインそのものが主役になります。
ヴィンテージペーパーでは、印刷したデザインに紙の濃淡が重なり、枠や文字だけでなく、紙面全体がひとつのデザインのように感じられます。
今回の比較では、白い紙は印刷したデザインをすっきりと見せ、ヴィンテージペーパーは紙そのものもデザインの一部になるように感じました。
印刷する文字や写真だけではつくれない雰囲気を、紙の色や模様が加えてくれるのです。
原紙は上質紙なので、インクジェットプリンター・レーザープリンターのどちらでも印刷できます。また、水性ペンや油性ペン、鉛筆、万年筆、スタンプインクなどにも対応しているため、印刷したあとに文字を書いたり、スタンプを押したりして仕上げることもできます。

ヴィンテージペーパーで作品づくり
A4の紙にデザインを印刷するだけでも十分に雰囲気がありますが、ヴィンテージペーパーは、切ったり、折ったり、貼ったりと、そこからさらに手を加えることで楽しみ方が広がります。
今回は、紙袋やコラージュ、リーフレットなど、いくつかの作品をつくってみました。
切って、組み合わせて、コラージュに
まずは、ヴィンテージペーパーにさまざまなデザインを印刷し、クラシックカーや切手、チケット、フィルムなどをイメージした小さなパーツをつくってみました。

切り抜いたパーツをいくつか重ねてみると、一枚の紙に印刷されていたときとはまた違った表情になります。
ヴィンテージペーパー自体に色むらや使い込まれたような風合いがあるため、切ったものを並べるだけでも、長い間集めてきた紙ものを組み合わせたような雰囲気に。
紙の端をきれいに切りそろえるだけでなく、あえてちぎったり、重ねたりしてみるのも面白そうです。
完成したデザインをそのまま楽しむだけではなく、
印刷する → 切る → 組み合わせる
と、少しずつ手を加えていく。
コラージュやスクラップブッキングなど、紙そのものを素材として楽しむ使い方にも向いています。
折って、小さな紙袋に
同じヴィンテージペーパーを使って、紙袋もつくってみました。
A4の紙を折って袋の形にすると、平らな一枚の紙だったときとは、また違った表情が見えてきます。
白いラベルやシールを合わせると、ヴィンテージペーパーの茶色とのコントラストが生まれ、ちょっとした小物を入れる紙袋としても楽しめる仕上がりになりました。
無地のまま袋にしてもよいですし、あらかじめ文字や模様を印刷してから組み立ててもよさそうです。
一枚の紙から立体的な形へ変わると、紙の風合いもまた違って見えてきます。
リーフレットや作品づくりにも
さらに、ヴィンテージ調の文字や飾り枠を印刷し、三つ折りリーフレットも制作してみました。
紙そのものに表情があるため、シンプルなデザインでも背景が寂しくなりにくく、印刷するだけで昔の冊子や案内状を思わせるような印象になります。

今回、特に相性がよいと感じたのが、ドライフラワーや植物との組み合わせでした。
紙の落ち着いた茶色と、乾いた花や葉の自然な色がよくなじみます。
麻ひもで束ねたり、小さなタグを添えたりすれば、華やかすぎず、素朴で温かみのある雰囲気に。
リーフレットだけでなく、メニューやショップカード、イベントのプログラム、チケット、タグなどに使っても、ヴィンテージペーパーの特徴を活かせそうです。
新品の紙でありながら、どこか時間を重ねてきたもののように見える。
そんなヴィンテージペーパーならではの表情が、いつもの印刷物や作品づくりに少し違った印象を加えてくれます。
紙の「古さ」を、魅力に変えて
紙は一般的に、白く、きれいで、均一なものほど使いやすいと考えられています。
けれど、紙の楽しさはそれだけではありません。
黄ばんだような色。
不均一な濃淡。
使い込まれたような風合い。
普段なら「古さ」として捉えられる特徴も、見方を変えれば、作品の世界観をつくる大切な要素になります。
今回、上質紙との印刷比較や作品づくりを通して感じたのは、ヴィンテージペーパーは**「何を印刷するか」だけでなく、「紙をどう使うか」まで楽しめる紙**だということです。
印刷する。
切る。
折る。
貼る。
手を加えるたびに、紙の表情も少しずつ変わっていきます。
真っ白な紙からデザインを始めるのではなく、すでに表情を持っている紙から、何をつくろうか考えてみる。
アンティーク調の作品づくりやコラージュ、リーフレット、イベントの印刷物など、いつもとは少し違った雰囲気に仕上げたいときに、ヴィンテージペーパーを取り入れてみてはいかがでしょうか。