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A4用紙から世界が生まれる/紙一枚が秘める豊かな可能性

A4用紙から世界が生まれる_トップ画像コラムのネタに悩んでいたある日、ふと目に入ったのは、妻と娘が夢中になって作っていた紙の動物でした。

ふたりが参考にしていたのは、造形作家・谷内庸生さんによる『1まいのかみのどうぶつたち』です。A4一枚から動物が生まれるという発想と、そのシンプルさの中にある完成度に惹かれました。
工作が好きなふたりは、あっという間にいくつも作り上げ、最後にはそれらを使って小さなジオラマまで完成させてしまいました。

A4一枚から、動物が立ち上がる

紙で動物を作ると聞くと、一般的には折り紙を思い浮かべる方が多いと思います。
正方形の紙を使った表現は広く親しまれており、完成度の高い作品も数多くあります。

一方で今回の本では、A4サイズの紙一枚に切り込みと折りを加えるだけで、さまざまな動物が生まれます。

A4用紙から世界が生まれる_A4の様子と動物たち

キリン、ゾウ、カバ、ウサギ、シラサギ、そしてサル。どれもシンプルな構造ですが、簡単な「切り」と「折り」だけで、まるで会話しているような、表情豊かな動物たちが生まれてきます。

どれもシンプルな構造ですが、簡単な「切り」と「折り」だけで、まるで会話しているような、表情豊かな動物たちが生まれてきます。

PAPER Entranceでは、A4サイズの紙を豊富に取り揃えています。

ネオンカラー、色上質紙、くすみカラー紙、しきかみ、金の紙など、同じサイズでも素材や色の違いによって表現の幅が広がります。

そのため、A4一枚から形を作るこの工作は、紙の違いを試すうえでも非常に相性の良いテーマだと感じました。

しきかみで作るとどうなるか

今回使用したしきかみは、当社の四季の色紙セットで、A4サイズの色紙(タントという色画用紙に近い厚手の紙)をベースにした特厚の紙です。

A4用紙から世界が生まれる_使用した紙

創造性が広がるカラーバリエーション。適度な厚みとコシがあり、工作用途にも適しています。

一般的なコピー用紙と比べると、厚みがある分だけ紙に強度が生まれ、折りや切り込みを入れた際にも形が安定しやすくなります。

実際に作ってみると、

  • 折りのラインがしっかりと立つ
  • 形が崩れにくく、自立しやすい
  • 紙の風合いがそのまま表情として現れる

といった特徴がありました。

コピー用紙のように薄い紙ではやや頼りなく感じる場面でも、しきかみのような厚みのある紙であれば、形が安定しやすく、やわらかな風合いも自然に残ります。

並べると、世界になる

A4用紙から世界が生まれる_ジオラマ全体像

完成した動物たちは、並べることで一気に風景へと変わります。

水辺をつくれば、カバやシラサギがそこにいるように見え、
岩場や地面を用意すれば、それぞれの動物の居場所が自然と生まれます。

今回のジオラマも、紙だけで構成されています。
それでも、視点を少し変えるだけで、そこに小さな「世界」が立ち上がります。

動物たちのご紹介

それでは、今回生まれた6種の動物たちをご紹介していきます。

ゾウ

A4用紙から世界が生まれる_ゾウ

どっしりとしたシルエットで安定感があり、ゆっくりと歩いているような存在感があります。少し下がった鼻のラインにも愛嬌があり、場の重心をつくる動物になっています。

キリン

A4用紙から世界が生まれる_キリン

長い首のラインがすっと伸びていて、全体に軽やかなリズムを与えています。静かにこちらを見ているような佇まいがあり、シンプルなのに不思議とキリンらしさを感じます。

カバとシラサギ(今回は色つきの鳥ですが)

A4用紙から世界が生まれる_カバとシラサギ

水辺に並べると、のんびり水に浮かぶカバと、そのそばに立つシラサギの関係が自然に見えてきます。低い形と軽やかな形の対比によって、小さな風景に奥行きが生まれました。

サル

A4用紙から世界が生まれる_サル

くるりと伸びた尻尾や動きのあるポーズが印象的で、今にも飛び回りそうな元気さがあります。静かな構成の中で、自然と目を引く存在です。

ウサギ

A4用紙から世界が生まれる_ウサギ

小さくやわらかな形がかわいらしく、ぴょこんと草むらから顔を出しているようにも見えます。視線の“休みどころ”のような存在で、全体をやさしくまとめてくれます。

風景について

今回のジオラマは、動物だけでなく、地面や岩、水辺まですべて紙だけで構成しています。

動物たちは「切る」「折る」で形を作り、一方で地形や背景は紙を「ちぎる」「もむ」ことで質感を出しました。

同じ“紙”でも、作り方によってまったく異なる表情が生まれる。そのコントラストも、この小さな世界の見どころのひとつになっています。

紙一枚から始まる体験

A4一枚の紙は、特別な素材ではありません。

どこにでもある、身近な存在です。

けれど、その一枚から形が生まれ、並び、風景になる。

その過程の中に、紙の持つ可能性が静かに広がっています。

今回あらためて感じたのは、シンプルな立体だからこそ、紙肌や淡い色味といった紙そのものの表情が自然によく活きるということでした。

紙の魅力が驚くほど素直に表れてくるその感覚は、紙を扱う者としてとても嬉しく、まさに「紙屋冥利に尽きる」体験でした。

工作として手を動かす時間も、 出来上がったものを眺める時間も、 どちらも紙ならではの楽しさなのかもしれません。

参考書籍

A4用紙から世界が生まれる_参考書籍

『月刊かがくのとも 1まいのかみのどうぶつたち』
 作:谷内庸生 撮影:西山悦子
(福音館書店)

※本記事は上記書籍を参考に制作しています。

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