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クラフト紙の特徴と印刷適性・筆記の相性を解説

クラフト紙は、包装や梱包の現場だけでなく、店舗づくりやデザイン分野でも広く使われている素材です。その理由は、紙そのものが持つ強さと、自然な見た目、そして幅広い加工適性にあります。本記事では、クラフト紙の基本から素材構造、印刷や筆記への適性、他の紙との比較までを詳しく紹介します。紙の専門店であるPAPER Entranceの視点から、機能性と感性を兼ね備えたクラフト紙の魅力を中立的にお伝えします。

クラフト紙の基本的な種類(未晒・半晒)

以下の画像は、未晒・半晒クラフト紙の色の違いを比較したものです。

クラフト紙2種(未晒・半晒)の色の違い漂白の程度によって色味が異なり、用途や印象に応じた使い分けができます。

クラフト紙は、紙を漂白するかどうかで分けられます。

未晒クラフト紙

もっともよく知られているのが、未晒(みざらし)クラフト紙です。漂白処理をしていないため、自然な茶色をしており、素朴な風合いと高い強度が特徴です。梱包用や封筒、ラッピング、メニュー用紙など、多様な用途に使われています。

半晒クラフト紙

未晒と晒の中間にあたるのが、半晒(はんざらし)クラフト紙です。やや明るめの茶色で、自然な印象を保ちながら、印刷の視認性も高められます。食品包装やショップ袋など、清潔感も求められる用途で重宝されています。


針葉樹パルプで強度があるのはなぜ?

以下の画像は、クラフト紙をちぎった際の繊維の様子です。針葉樹パルプの繊維は長く、紙の裂け口にもそれが表れます。

クラフト紙をちぎった時の紙繊維:繊維が長く強靭繊維の長さと密度が、クラフト紙の強度を支えています。

クラフト紙が強くて丈夫な理由は、「針葉樹パルプ」を原料にしている点にあります。

針葉樹の繊維は細く長いため、紙をすいたときに繊維どうしが絡まりやすく、破れにくい紙になります。これに対して、広葉樹の繊維は短くて太いため、しなやかさや滑らかさはありますが、強度の面ではやや劣ります。

クラフト紙は主にこの針葉樹の繊維をベースにしており、そのため引っ張りにも折りにも強く、梱包や包装に安心して使える紙となっています。

透かしてわかる紙ムラと自然な風合い

下の画像は、クラフト紙を光に透かした状態を写したものです。紙ムラや繊維の密度の違いが見えるのが特徴です。

クラフト紙を透かすと、紙ムラのナチュラルな味わいが感じられるクラフト紙は、製造時に漂白や加工をあまり施さないため、光に透かすと「紙ムラ」と呼ばれる色の濃淡が見えることがあります。

このムラは欠陥ではなく、むしろ自然な製造過程の証です。紙によっては、筋のように見える部分や、少しざらついた手触りがあることもありますが、これがかえってナチュラルな印象を与えます。

量産された印刷用紙とは違い、一枚一枚に微細な違いがあることが、クラフト紙ならではの魅力とも言えます。

印刷・筆記テストの実例と適正評価

以下の画像は、クラフト紙にインクジェットとレーザープリンターで印刷した結果です。

クラフト紙は、紙の種類や厚さによって印刷や筆記の相性が異なります。ここでは実際のテストをもとに、使いやすさを整理します。

インクジェット印刷との相性

クラフト紙の中でも、比較的表面が滑らかなタイプであれば、家庭用のインクジェットプリンターでも十分きれいに印刷可能です。インクの種類にもよると思いますが、テストではにじみも気になりませんでした。

レーザープリンターの場合

レーザープリンターでは、問題なくきれいに印刷できました。未晒クラフト紙は表面が若干ざらついていますが、トナーの剥がれは全くありませんでした。

様々な筆記具に対応

筆記については、未晒クラフト紙でも十分に可能です。ただし、油性ペンでは、ゆっくり書いたり、紙面の一点にペンを留め続けるとインクがやや滲みます。

上質紙との比較:どちらが用途に合うか?

上質紙とクラフト紙は、見た目も性質も大きく異なる紙です。目的に応じて使い分けることが重要です。

比較項目 クラフト紙 上質紙
見た目 ナチュラル・素朴 白くて均一
強度 高い(特に未晒) 中程度
印刷適性 △(種類による) ◎(均一で発色が良い)
筆記適性 ○(ペンにより差あり)
イメージ 自然・エコ・温もり 清潔・洗練・正確

たとえば、ブランドの世界観をナチュラルに表現したい場合はクラフト紙が適しています。一方で、細かい文字や色をきれいに見せたい場合は、上質紙が向いています。

まとめ:クラフト紙は“機能性と感性”の紙

クラフト紙は、ただの包装用紙ではありません。強度の高さ、素材の魅力、自然な風合い、そして選べるバリエーションは、感性に訴える表現手段としても機能します。

用途に合わせて「未晒・半晒」を使い分けることで、印象を大きく変えることもできます。また、紙の表情や質感にこだわることで、商品やサービスの世界観をより丁寧に伝えることができます。

クラフト紙は、機能だけでなく感性にも働きかける紙です。紙選びの場面で、「何を伝えたいのか」に一度立ち返ってみると、クラフト紙という選択が、意外なほど深い意味を持つかもしれません。

なお、当ストアでは未晒クラフト紙と半晒クラフト紙の70g/㎡をご用意しています。強度と印刷性のバランスが取れた紙を、用途に合わせてお選びいただけます。なお、具体的な活用例や使い道については、別記事「クラフト紙にプリントしてオリジナル紙グッズを作る」にて詳しく紹介しています。

 

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