塗工紙と非塗工紙の違いについて

印刷用の紙には大きく分けて、塗工紙と非塗工紙の2種類があります。塗工紙は、紙の表面にコーティング剤を塗布したもので、滑らかで光沢があるのが特徴です。一方、非塗工紙はコーティングを施していないため、紙本来の質感が残っています。それぞれの特徴や用途について詳しく見ていきます。

塗工紙の特徴

塗工紙は、紙の表面に白色顔料や粘着剤を塗布して作られます。これにより、印刷時のインクの吸収が抑えられ、鮮明で美しい仕上がりになります。一般的に、以下のような特徴があります。

●表面が滑らかで光沢がある

●インクのにじみが少なく、発色が良い

●写真やイラストの印刷に適している

塗工紙には、光沢の度合いによって種類が分かれています。代表的なものは次の通りです。

種類 特徴
グロス紙 強い光沢があり、写真や広告に最適
マット紙 反射が少なく落ち着いた仕上がり
ダル調紙 グロスとマットの中間的な質感

塗工紙は主に雑誌、ポスター、カタログ、チラシなど、視覚的な美しさを重視する印刷物に使われます。

筆記適正

塗工紙は、コーティングによってインクの吸収が抑えられているため、筆記具の種類によって書き心地が異なります。

●鉛筆:滑りやすく、筆記しにくい場合がある

●水性ペン:インクが乾きにくく、こすれると滲むことがある

●油性ペン:発色は良いが、インクが乗りすぎることがある

塗工紙は、筆記よりも印刷向けの紙といえます。

インクジェットプリントとの相性

塗工紙は、インクの吸収を抑えているため、インクジェットプリンタには適していない場合があります。水性インクが表面にとどまりやすく、乾燥が遅くなるため、にじみやすくなります。インクジェット印刷を行う場合は、専用のインクジェット用塗工紙を選ぶと、発色が良く仕上がります。

非塗工紙の特徴

非塗工紙は、表面にコーティングを施していない紙です。一般的な特徴は次の通りです。

表面がざらついている

インクが紙に染み込みやすい

自然な風合いがある

書き込みしやすい

代表的な非塗工紙には、上質紙や更紙(ざら紙)などがあります。特に、上質紙はノートや書籍など、筆記性を重視する用途に使われます。新聞やコピー用紙も非塗工紙の一種です。

筆記適正

非塗工紙は、コーティングが施されていないため、さまざまな筆記具との相性が良いです。

●鉛筆:適度な摩擦があり、書きやすい

●水性ペン:インクが吸収されやすく、にじみにくい

●油性ペン:発色が良く、安定した筆記ができる

書き込み用途が多いノートや帳票などには、非塗工紙が適しています。

インクジェットプリントとの相性

非塗工紙は、インクを吸収しやすいため、インクジェットプリンタとの相性が良いです。特にコピー用紙や上質紙は、にじみにくく、自然な仕上がりになります。ただし、写真印刷など発色を求める場合は、インクジェット専用のコート紙を選ぶとより良い結果が得られます。

用途に応じた選び方

用途に応じて適切な紙を選ぶことが大切です。以下の表にまとめました。

用途 推奨される紙の種類
写真や広告 グロス紙(塗工紙)
落ち着いた印刷物 マット紙(塗工紙)
書籍やノート 上質紙(非塗工紙)
コピー用途 更紙や上質紙(非塗工紙)

塗工紙は見た目の美しさを重視する場面に向いており、非塗工紙は書き心地や自然な風合いを大切にしたい場面に適しています。用途に応じて最適な紙を選ぶことで、より良い仕上がりになります。

まとめ

塗工紙と非塗工紙にはそれぞれ特徴があり、用途によって使い分けられています。印刷物の仕上がりや用途に応じて、適切な紙を選ぶことが重要です。紙の種類を理解し、目的に合ったものを選ぶことで、より満足のいく仕上がりになります。

 

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